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Ⅰ.はじめに
医療費削減による在院日数の短縮および新薬開発や副作用対策のめざましい進歩によるがん治療の多様化に伴い,がん化学療法は入院治療から外来治療へとシフトし,治療の場が拡大してきた.2002年4月に診療報酬が改正され,一定の基準を満たしていればどの施設においても外来化学療法加算が新設できるようになった.安藤ら1)2)の全国調査によれば外来化学療法センターを有している施設は2002年(113施設)に比べて2004年(269施設)には倍増していたと報告されており,外来化学療法を導入する病院が急増している.しかし,施設によっては外来化学療法を行うには十分なシステムや体制が整っていない状況の中で,看護師は少ない人数で複雑な外来業務と並行しながら化学療法看護を提供しており,患者個々に合わせた有害事象への指導や相談が十分に行われているとは言い難い.
浦本ら3)の調査によると6割以上の患者は入院より外来化学療法を希望しており,その理由として家族と共に過ごしながら仕事をして普段の生活を送りたいなどをあげていた.その一方で,4割以上の患者は副作用への不安をもっていたと報告されている.したがって,患者が安心して外来化学療法を継続しながら普段と同じような社会生活を送れるようにするためには,外来看護師の有害事象に対する指導や心理・社会的支援が不可欠である.
これまでのわが国の化学療法に関する研究は,化学療法を受けている患者の食事や味覚に関するもの,副作用症状およびその緩和法,コーピングやセルフケアに関するもの,患者のニーズ,生活障害,意思決定への関わりなどであり,外来化学療法看護がどのようなシステムの中で提供されているかを明らかにした研究はほとんどみられない.そこで本研究は,外来化学療法を受けるがん患者の安全・安心を守る看護ケア・技術の標準化を図るための資料を得るために,わが国の外来化学療法におけるケアシステムおよび看護実践の現状を明らかにすることを目的とした.
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