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Ⅰ.はじめに
わが国において国民の生活や健康を脅かし不治の病として恐れられてきたがんは,近年の医療のめざましい進歩により治癒率などが飛躍的に向上し,慢性疾患の1つとしてとらえられるようになった.1990年代に入り,がん患者のQOLやインフォームド・コンセントが流布する中で告知への取り組みが積極的になり,数施設のがんセンターでは告知率が80%以上1,2)であるとの報告がなされている.しかし,がん告知が進む一方で,告知を受けた患者の援助については,医師,看護婦ともにさまざまな困難を感じており3),心理・社会的な援助が十分になされていないのが現状である.そして,がん診断後の40%前後の患者に適応障害,抑うつ,せん妄などの精神症状がみられ4)たり,再発や死への不安などを抱えている人が多い5)との報告もあり,がんという真実を知ったことにより患者はさまざまな苦悩をもちながら生活している.
米国では,1970年代から1980年代にかけて告知が進むとともに,告知後の患者の心理的・社会的側面からの研究が盛んに行われ,患者や家族をサポートするプログラムが開発,実施されている6).中でもJudi Jhonsonが告知を受けた患者を対象に教育プログラム「I can cope」を開発してその効果を検証しており7),そのプログラムは全米において広く実践され,告知を受けた患者にさまざまな良い効果をもたらしている8).しかし,患者の告知が遅々として進まなかったわが国においては,告知後の患者の援助について系統的なアプローチが確立しておらず,緊急に日本人の国民性や文化的背景などを考慮した告知後のがん患者の教育・支援プログラムが必要であると考える.
そこで,本研究は告知を受けた患者が主体的にがんに立ち向かい,自らQOLを高めてがんと共に生きていけるように心身両面から支援・援助する系統的なプログラムを開発し,そのプログラムの妥当性・実用性を検証することを目的として以下の2項目を行った.
1.がんとの共生を支える援助プログラムの作成
2.作成した援助プログラムの効果の検証
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