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Ⅰ.はじめに
終末期がん患者のストレスは,患者だけにとどまるものではない.患者と家族は心理的に影響し合う1)ために,患者のストレスが家族のストレス源となりうる.さらに終末期の家族の心理状態が,死別後の家族の悲嘆過程に影響を及ぼすことが指摘されている2).そのような家族に対してより効果的に看護師が働きかけるうえでも,家族のストレスと対処行動(以下,コーピング)を明らかにすることが必要である.
終末期がん患者の家族のストレスへのコーピングに関して,家族が用いたコーピングについての質的研究3)〜9),ならびに家族に効果的であったコーピングについての研究10)が報告されている.中でもMartens&Davies9)は,希望をもつこと,最期まで生き抜くこと,現状を維持すること,生活を振り返ることを抽出している.吉田7)は,「患者への介入コーピング」,家族自身に対する「自己コーピング」,「他者へのコーピング」,困難・心配などに伴う不快な感情をなんらかの方法で緩和しようとする「不快緩和コーピング」,不快な感情が緩和しきれずに持続している「不快緩和不能コーピング」を明らかにしている.Steel10)は量的研究を通して,具体的に“忙しくする”,“前向きに考える”などが効果的なコーピングであることを報告している.しかしストレスの原因を特定したものは数少ない7)8).また,どのようなストレスがどの程度負担になるのか,ストレスの程度によって用いるコーピングが異なるのか,その関連についての報告はない.
そこで本研究では,終末期がん患者を抱える家族のストレスとコーピングの特徴を,遺族への質問紙調査によって明らかにし,終末期がん患者の家族を支える看護のあり方を検討した.
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