Japanese
English
資料
不確かさの概念分析
An Analysis of Concept of Uncertainty
鈴木 真知子
1
Machiko Suzuki
1
1日本赤十字看護大学大学院
1Japanese Red Cross of College of Nursing
pp.40-47
発行日 1998年4月25日
Published Date 1998/4/25
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Ⅰ.はじめに
慢性疾患やがん,AIDSなど現在の医学では治癒できない疾患が増加し,疾患の成り行きが予測し得ないなど,患者やケアを提供している介護者,医療者さえも不確かな状況に置かれる機会が増えている.Mishel(1983)1)は,人が状況を不確かとして認識すると,出来事を明確に評価することができなくなったり,コーピング行動が限定されるとし,不確かさの認識が人の取る行動に大きな影響を与えることを述べている.また日本では1997年10月から臓器移植法が施行されるなど,患者自らが意思決定を明確にしていかなければならない機会が増えている.意思決定を求められた場合Janis&Mann(1977)2)は,人は選択肢に関する情報を求める行動を取るとしている.しかし人々が置かれている環境は,多くの情報に溢れている.Mishel(1988)1)は,情報量がその人の認知能力を越える時,情報はその人の負担となり,不確かさを生じると述べている.Newman(1986)3)は,「拡張する意識としての健康理論」において,不確かさを,病気中に人が人生についての一つの見方から,より高い秩序に立った見方へと移行する機会であるとし,不確かさが看護援助を考える際の重要な概念であると述べている.不確かさの概念は,これまで欧米では数多く研究されているが,日本では概念の応用性を高めるような研究は,ほとんど行われていない.
従って,本稿ではWalker&Avant(1988)4)による概念分析法の手順に基づき,看護実践や研究における「不確かさ」の概念の応用性を高めることを目的とし,「不確かさ」の概念分析を行った.
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