臨床医からの質問に答える
“測定の不確かさ”って何ですか?
村越 大輝
1
1静岡県立総合病院検査技術室
pp.1070-1073
発行日 2024年10月1日
Published Date 2024/10/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543209451
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はじめに
臨床検査において“真に正しい測定値”を求めることは困難であるといわれていますが,臨床検査技師は“限りなく正しい測定値”の報告に努める必要があります.その確認作業をするために,内部精度管理や外部精度管理により,ばらつきを示す精密さやかたよりを示す正確さを監視し,測定値の信頼性を担保しています.信頼性を担保する精密さと正確さは合わせて精確さといわれています.精確さは,真の値とみなしている一次標準物質の認証値と一次標準物質を繰り返し測定することで得られる測定値とのかたより(系統誤差)と,測定値のばらつき(偶発誤差)により評価をすることができます1).すなわち,“測定値と真の値の差”を誤差として,誤差が小さければよい状態であると評価する考え方になります.一方で測定値の信頼性を表現しようとすると,理想的な概念である真の値を求めることが難しく,推定した真の値を用いることや測定条件(併行精度や室内,室間再現精度など)によりばらつきの大きさが異なることから,画一的に表現することは容易ではありません.
そこで用いられている考え方が,“測定の不確かさ”になります.測定の不確かさは,測定値からどの程度のばらつきの範囲に真の測定値が存在するかを表現することで,信頼性の指標としています.本稿では,測定の不確かさの概念と検査室で広く用いられている算出方法について解説します.
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