増刊号 メタボリックシンドローム健診検査技術マニュアル
総論
5. 生化学検査の不確かさの意味と算出法
細萱 茂実
1
1山梨大学医学部附属病院検査部
pp.1037-1044
発行日 2007年10月15日
Published Date 2007/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543101870
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はじめに
標準化とは,製品やサービスをその目的に合致するように,信頼性,安全性,効率性などに優れた技術やシステムの規格を規定し,その規範を広く共有・共用する活動である.
臨床検査の領域でも,基準測定操作法や標準物質の開発,また,それらを用いた検査データの標準化が積極的に進められている.その目的は,いつ,どこで実施しても,信頼性の高い検査値が効率的に提供でき,被検者の疾病予防・診断・治療に寄与することである.
生化学検査は,検体中の目的成分の濃度(量)を測定することが主体であり,測定の結果には高い信頼性が求められる.その信頼性の程度を客観的に表現する指標として「不確かさ」が用いられる.「不確かさ」による信頼性の表現は,分析化学や応用物理など測定・計測に関係するさまざまな分野で共用すべく,国際的な標準化が進められている.
臨床検査の標準化に関する推進母体である国際標準化機構(International Organization for Standardization,略称:ISO)の技術委員会ISO/TC(Technical Committee)212「臨床検査と体外診断検査システム」においても,日常検査値の「不確かさ」に関する国際規格の整備が進められており,「不確かさ」の概念は広く普及しつつある.
また,臨床検査のさまざまな場面で「不確かさ」の表現が用いられ,標準物質の認証値の不確かさ,キャリブレータの表示値の不確かさ,日常検査値の不確かさなど,それぞれで不確かさのもつ意味も若干異なるが,ここでは日常検査値の不確かさについて主に述べる.
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