巻頭言
看護師の役割拡大,そのベクトル
小松 浩子
1,2
1日本看護科学学会
2慶應義塾大学看護医療学部
pp.1
発行日 2010年9月21日
Published Date 2010/9/21
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- 文献概要
近年の科学技術の発展,社会・経済情勢および地球環境の変動をうけ,医療の高度化・複雑化,医療システムの改革がかつてないスピードで進んでいる.医療専門職者は,知識・技術の高度化のみならず専門性の深化と役割拡大を求められている.現に,それは新たな看護職創設の動きにつながっている.すでに周知のことであろうが,厚生労働省チーム医療の推進に関する検討会により,一定の医学的教育・実務経験を前提に専門的な臨床実践能力を有する看護師(特定看護師(仮称))が,幅広い医行為(特定の医行為)を実現できる新たな枠組みの構築が提案された(平成22年3月19日).そして,「チーム医療推進会議」において,この提言の具体的方策の実現に向けた検討がスタートした(平成22年5月12日).医療現場や養成現場において実態調査,特定看護師養成調査試行事業が実施され,特定看護師(仮称)が,医師の「包括的指示」の活用により,自律的に判断しながら,従来一般的には看護師が実施できないと理解されてきた医行為を幅広く実施できる要件の検討が行われている.
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