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Ⅰ.緒言
近年,荒廃した腎機能を代替する透析療法が必要な末期腎不全へと進行する患者が著しく増え,医療費を圧迫している現状がある.このうち,糖尿病腎症を原疾患とする透析患者数は増加の一途を辿り,糖尿病腎症は2011年に透析患者全体の原疾患第1位となった1).患者の予後向上を促し,医療費を抑制するためにも,この患者群が末期腎不全へ移行するのを防いだり,透析導入までの期間を延長または透析回避させることは必須である.
糖尿病腎症の進行抑制には,厳格な血糖,血圧管理が必要であることから,食事療法や薬物療法,生活習慣の是正といった患者の取り組みは,疾患の進行に大きく影響する2).国内外における保存期2型糖尿病腎症患者に対する支援プログラムを概観すると,薬物療法に加えて食事,運動,喫煙などの生活習慣へ介入した集約的治療による臨床指標の改善が報告されている3~5).また,腎機能が正常の50%以下までに低下しなければ自覚症状が現れず,保存期慢性腎不全患者は病気が悪化することへの危機感を感じにくいことから,セルフマネジメントの必要性や重要性を認識しづらく,動機づけが難しい場合がある.さらに,患者は生涯病気とともに生きていくため,獲得したセルフマネジメント能力を維持していかなければならない.ここで,多くの先行研究が患者の行動変容とその行動の持続に自己効力感が最も影響すると報告していることから,セルフマネジメントに対する動機づけ,その維持のために自己効力感を向上させる支援が必要であると考える6).しかし,保存期慢性腎不全患者を対象とした自己効力感向上を目指した教育プログラムについての報告は少ない.
そこで,本研究では,末期腎不全移行期にある糖尿病腎症患者に対し,食事療法を始めとする療養に関する教育の提供と自己効力感の向上の支援を含んだ6か月間の教育プログラムを提供した.この介入の結果について報告する.
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