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はじめに
透析が導入された患者の原疾患では糖尿病性腎症が最も多く,43.2%を占めるとされている9).また糖尿病足病変の発症は,糖尿病合併症の進展度合いが高いほどリスクが高いとされているため,糖尿病末期である維持透析患者には足病変のリスクが非常に高い場合が多いと考えられる.よって,維持透析中の糖尿病性腎症患者にはフットケアを施行する必要性が高いと思われる.糖尿病足病変は,患者の不適切なセルフケア行動から生じる小さな外傷(靴ずれ,深爪,熱傷など)や感染症(真菌感染など)が複合的に絡み合うことで,足潰瘍や足壊疽といったさまざまな病変を生じると考えられている.そのため,軽症のうちから糖尿病患者が適切なフットケアの情報・技術を習得できるようにするとともに,継続的にセルフケアを実施できるように支援する必要がある.
最近ではフットケア外来などをもつ施設が増加しつつあるが,介入内容についてはいまだ手探り状態であるのが現状である.一方,2008年4月より,診療報酬として糖尿病合併症管理料が月1回170点算定されるようになった.看護師が行う場合,糖尿病足病変の看護の実務経験(5年以上)と,フットケアの研修(16時間以上あるいは2日程度)の受講が求められている.しかし,院内での運営体制が整っていないことや,フットケア技術に不安がある看護師が多いことが問題としてあがっている.今後の課題としては,リスク評価や指導内容マニュアルなど,フットケアの標準化を進めることが急務であると考える.
そこで,糖尿病足病変に対するフットケアのうち,①足潰瘍発症リスクの把握の方法,②看護師が行うフットケア介入,③介入の評価方法について解説する.
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