第12回日本腎不全看護学会・学術集会記録 【教育講演】
3.ヒューマンファクターと医療安全―人間特性から生まれるミスにどう対処するか
佐相 邦英
1
1財団法人電力中央研究所
pp.25-30
発行日 2010年4月15日
Published Date 2010/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.7003100403
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Ⅰ.はじめに
人間の不適切な行為で事故が起こると,「事故の原因はヒューマンエラー」などと表現されることがある.しかし,人間の行為はさまざまなものの影響を受けた結果である.自分自身の知識や経験はもちろんのこと,外見が類似した薬の容器,名称が類似した薬,あいまいなマニュアル,ルールを守らない職場風土,コスト重視の経営方針などの幅広い要因が直接的,間接的に影響する9).
このような人間の行為に影響する要因の1つとして,注意不足,思い込みなどの人間自身がもつ特性がある.このような人間特性は誰もがもつものであり,それゆえに,どんなに優秀な人間でもミスをする可能性がある.しかし,このような人間特性そのものを排除することはできないながらも,人間特性の表面化を抑え,エラーを防ぐことは可能である.
本稿では,代表的な人間特性を医療事故事例を交えて紹介するとともに,人間特性によるヒューマンエラーを防ぐための分析の必要性について述べる.
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