第8回日本腎不全看護学会・学術集会記録 【会長講演】
透析者のケアリングを考える
田村 幸子
1
1金沢医科大学病院看護部
pp.4-9
発行日 2006年4月15日
Published Date 2006/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.7003100254
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Ⅰ.はじめに
2004年12月末現在において,わが国の透析者は248,166人となった.これは人口100万人あたり1,943人の透析者が存在することになる1).透析導入時の平均年齢は65.8歳,透析者の平均年齢は63.3歳であり,腎不全に至った原疾患は,糖尿病41%,慢性糸球体腎炎28%であり,透析導入後の生存率は5年が62%,10年が39%,15年が29%,20年が26%1)である.
高齢者,糖尿病および長期透析者の増加により,死亡原因は心不全が25%,脳血管障害が11%,感染症が19%である1).しかし透析者の身体的苦痛や心理・精神的側面の問題に関する全国的規模での統計データはほとんどない.
今大会のテーマである「透析者のケアリングを考える」ための基礎資料として,透析者の身体的・心理的な苦痛の実態と,看護師のケアの実態をつかむため実態調査を実施した.対象は北陸の透析施設における,協力を得られた透析者およびそのケアにあたる看護師で,自作自記質問紙による実態調査を実施した.この結果から,今現在「透析者の身体的・心理的苦痛は実際どのような状況にあり,どのように対応・対処されているのか」,また「透析施設におけるケアはどのようになされており,対応にあたる看護師はどのように苦労しているのか」について共通認識し,透析者のケアリングを考える手がかりとしたい.
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