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はじめに
日本は急速に高齢化社会を迎え,また,透析者の高齢化も年々深刻になっている.日本の慢性透析患者は229,538人1),その平均年齢は62.19歳となった.さらに,新たな透析導入者の平均年齢も64.67歳であり,導入者の55.6%が65歳以上の高齢者である.
昨今,高齢者におけるPD(腹膜透析:以下PD)は,HD(血液透析:以下HD)と比較して高いQOL(主観的評価)が期待できること,認知機能が高く維持されること,残存腎機能が保持されるため連日PDを必ずしも必要としなくてすむことなどから,高齢透析者の透析療法として認められつつある2~4).また透析現場だけでなく,PDは在宅医療であることから,介護,訪問看護といった分野でも関心が高まっており,施設に勤務する看護師だけでなく,地域で活躍する訪問看護師や介護福祉士との連携で高齢者PDを行っているという報告もある5~9).
当院でも今年,他施設で導入された高齢者が転居のために当院へ転入となった2事例を経験した.そのなかで,いくつかの問題が明らかになった.
たとえば,高齢化や合併症の出現により介護との連携が必要な要介護PD者のサポートは,PD外来フォローだけでは困難である.また,患者や家族の不安に対するサポートが十分ではない.さらに,バッグ交換のために在宅へ訪問することが困難であるが,来院も患者・家族の負担である.
また,在宅移行後の患者サポートにおいて,病院・施設に勤務する看護師は,在宅ケアに対する知識が不足し,一方,訪問看護師は,日本全体の透析医療における課題でもあるように,PDに対する知識が不足しているのではないかと思われる.
そこで今回,高齢化社会や透析者の高齢化,介護との連携などに対する施設内看護師や訪問看護師の認識を明らかにし,今後,病棟と外来,介護業務をはじめとした福祉サービス業者,また,PDメーカーのクリニカルコーディネーターとどのように連携していくか検討したいと考えた.
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