【調査研究】
慢性血液透析患者の健康行動に対するセルフエフィカシーの特徴
神谷 千鶴
1
,
今井 雪香
2
,
江川 隆子
2
1大阪大学医学部附属病院
2大阪大学医学部保健学科
pp.48-52
発行日 2000年10月15日
Published Date 2000/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.7003100051
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本研究は,自己管理が難しいとされている,透析患者のセルフエフィカシーの特徴を明らかにすることを目的とした.対象は血液透析治療を受けている患者163名である.セルフエフィカシーは,1996年に金らが開発した「慢性疾患患者の健康行動に対するセルフエフィカシーの尺度」を用い,看護婦による面接調査によって評価した.主因子法,バリマックス回転による因子分析を行い,「疾患に対する感情」「透析治療計画行動」「予防行動」「健康管理行動」の4因子が抽出された(累積寄与率 = 74.5%).これらの各因子得点と年齢,性別,透析歴,平均除水率との関連性を検討した結果,「疾患に対する感情」では明らかな関連性は見出せなかった.「透析治療計画行動」では,平均除水率5%以下の群がセルフエフィカシーを高く持っていた(p< 0.0001).「予防行動」では,40~59歳の群が他の群よりセルフエフィカシーを低く持っていた(p=0.033).「健康管理行動」では,女性のほうがセルフエフィカシーを高くもっていた(p=0.016).また,この因子においては,透析歴5~10年未満の群が,5年未満,10年以上の2群よりセルフエフィカシーを低くもっていた(p=0.032,p=0.006).今回はセルフエフィカシーの特徴を明らかにするまでに留まったが,関連性のみられた項目について,その特徴を生かした看護を検討していくことができる.
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