第26回日本糖尿病教育・看護学会学術集会報告 教育講演1
患者の立場および看護師の立場から考えたアドボカシーとスティグマ
土田 由紀子
1
Yukiko Tsuchida
1
1東京女子医科大学病院看護部
1Department of Nursing, Tokyo Women's Medical University Hospital
pp.91-94
発行日 2022年3月31日
Published Date 2022/3/31
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1.はじめに
これまで糖尿病看護において,エンパワメントやコンプライアンス,アドヒアランスなどといった患者への支援,介入をどのように行うか様々な議論がなされてきた.最近では,糖尿病看護においてアドボカシー活動やスティグマという言葉が挙げられるようになった.「患者擁護」や「恥」「不名誉なしるし」といったことが挙げられるようになったのは初めてではないだろうか.糖尿病患者に対して「自己管理ができていないから血糖値のコントロールが悪い」「糖尿病なの?可哀そうに」など,偏見と捉えられる発言から,糖尿病患者はスティグマを感じてしまうことがある.スティグマを放置してしまうと,患者の精神的ダメージや社会生活にまで不利益が発生することがある.それに対して,患者を擁護するアドボカシー活動はほとんど行われてこなかったのが現状である.
筆者は8歳で1型糖尿病を発症し,約40年が経過した.発症した当初は何もわからず,ただ月1回の受診だけをしていた.将来は看護師になろうと決め,糖尿病看護の道へ進み,糖尿病看護認定看護師の資格を取得した.1型糖尿病患者そして糖尿病看護認定看護師の立場から今までの経過を振り返り,1型糖尿病患者としての経験と糖尿病看護認定看護師としての経験から,アドボカシーとスティグマについて考えてみたいと思う.
ここではアドボカシーを患者擁護,スティグマを恥,不名誉のしるしと定義する.
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