第20回日本糖尿病教育・看護学会学術集会 会長講演
その人らしさを支える看護の視座—ケアと文化の融合
宮武 陽子
1
Yoko Miyatake
1
1元高知県立大学
1Former University of Kochi
pp.99-104
発行日 2016年3月30日
Published Date 2016/3/30
- 有料閲覧
- 文献概要
- 参考文献
はじめに
「文化」はその人が生きる場で営む暮らしという所産の総体,生活のあり様を表す広範で多義的な概念である.私は糖尿病者の看護の経験をするほどに,厳然としてある「病者と医療者の垣根」を超えるアプローチに強い関心を持ってきた.両者の隔たりは,病いが病者にもたらす意味と医療者にもたらす意味に違いがあるのではないかと思うようになった.そこで,暮らしが織りなす所産である「文化」を鍵概念に,講演テーマを「その人らしさを支える看護の視座—ケアと文化の融合」とさせて頂いた.「文化」は暮らしと不可分であり,価値を内包している.視座とは,どのような立場で現象を見るかということであり,なぜ見るか,何を見るか,どのように見るかを意味している.糖尿病ケアに「文化」という光を当てることは,暮らしの文脈の中で経験を通して意味を紡ぎだす人としてとらえ直すことを促し,病者と医療者に新しい関係を拓く手掛かりをもたらすと考える.
Copyright © 2016, Japan Academy of Diabetes Education and Nursing. All rights reserved.