第19回日本糖尿病教育・看護学会学術集会報告 ●教育講演2
糖尿病治療をめぐる最近の話題
津田 謹輔
1
Kinsuke Tsuda
1
1帝塚山学院大学
1Tezukayama Gakuin University
pp.42-45
発行日 2015年3月15日
Published Date 2015/3/15
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はじめに
糖尿病人口は今なお増え続けている.患者にとっても社会や医療経済にとっても大きな問題となっている.糖尿病治療の目的は,糖尿病に伴う様々な代謝異常を是正し,合併症を予防・治療して非糖尿病者と同じ生活の質,寿命を全うすることにある.糖尿病治療は今転換期にある.合併症に大きな広がりがでてきた.すなわち細小血管障害や大血管障害に加えて,がんや認知症が糖尿病の合併症として病態との関連が議論され始めている.治療においても新しい展開がみられる.食事療法では,従来のエネルギー制限や栄養素のバランスといった問題に,糖質制限という方法が議論されている.薬物療法にも新しい作用機序の薬剤が次々と登場している.特にDPP4阻害薬は低血糖をおこしにくい,肥満をきたしにくいなどの特徴があり広く使われている.本年になり腎における糖再吸収を阻害するSGLT2阻害薬が発売され,薬物の選択肢が増えている.一方治療の目標として,patient centered approachとして個別化が大きな流れになっている.
このような転換期をむかえている糖尿病治療について考察したい.
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