メディチーナ・ジャーナル・厚生省
イタイイタイ病をめぐる最近の話題
長谷川 豊
1
1厚生省環境衛生局公害部公害課
pp.788
発行日 1969年7月10日
Published Date 1969/7/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402202731
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"公害病認定"の意義—学問と行政の接点
富山県神通川流域に発生したいわゆるイタイイタイ病について,厚生省が"公害に係る疾患"であると断定してから早や1年余を経過した.これを契機として,その後続いて熊本の水俣病,新潟の阿賀野川水銀中毒についても公害認定が行なわれ,公害行政の進展に一時期を画したことはなお耳新しい.
しかしながら公害病認定ということはこれらの疾病が医学的に完全に解明されたということとイコールではない.学問的には未解明の点がまだ残されているけれども,わからない点があるからといっていつまでも放置しておけない,学問は学問として,公害行政としては一刻も早く対策を行ない,患者を救済しなければならないという行政上の判断によるふみきりである.
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