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現在,東京都の人口は約1280万人であり,その中で西東京地域(多摩地域)には約435万人が住んでいる.厚生労働省「2007年国民健康・栄養調査」より西東京地域の糖尿病患者を算出すると約28万人と推定されるが,これに対して西東京地域の糖尿病専門医数は77名しかおらず,専門医一人あたり約3700人の患者をみなければならない現状がある.これらは日本全国平均が約2200人であることを考えると,西東京地域の糖尿病治療は決して恵まれた環境にあるとはいえない.さらに糖尿病患者の多くは糖尿病非専門施設で治療されており,年々増え続ける糖尿病患者に対してすべての治療を糖尿病専門施設だけで行うのは不可能である.そうした中で,糖尿病領域の認定制度は日本糖尿病療養指導士を始め,地域認定の糖尿病療養指導士,糖尿病認定看護師等があるが制度発足から10年近くが経過し,今後は世代交代のみならず糖尿病非専門施設のスタッフも視野に入れた人材育成を考えなければならない.そこで,現在東京地域で行われている人材育成の試みをいくつか紹介する.
一つ目は,二次医療圏における人材育成の試みである.西東京地域の地域医療連携としてNPO法人西東京臨床糖尿病研究会がある.この研究会では,④糖尿病治療に関するスキルアップができる連携,⑤全ての糖尿病治療に係る人の和と輪を話で結ぶ連携をコンセプトに人材育成の試みが実施されており,西東京地域では糖尿病における治療方針の標準化は何らかの形で進んでいる.しかしながら,参画する施設のスタッフの療養指導に関する専門知識には差があるため,この差を縮めることが指導内容の標準化にもつながると考えている.そのような中,人材育成に関して,1)糖尿病患者指導にこれから関わりたい医療スタッフ対象の研修事業,2)地域糖尿病療養指導士認定取得のための認定事業,3)糖尿病療養指導士を対象としたアドバンス研修事業がある.これらは,糖尿病非専門施設の医療スタッフも対象とした事業であり,地域に貢献できる糖尿病療養指導士の育成にも力を注いでいる.
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