第12回日本糖尿病教育・看護学会学術集会報告 ●シンポジウム
1.糖尿病教育・看護の実践知の活用と伝承
稲垣 美智子
1
,
青木 美智子
2
Michiko Inagaki
1
,
Michiko Aoki
2
1金沢大学医学部保健学科
2成田赤十字病院
1School of Health Sciences, Faculty of Medicine, Kanazawa University
2Narita Red Cross Hospital
pp.66
発行日 2008年3月15日
Published Date 2008/3/15
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「臨床の知」の視点から発表された久保田氏は,先輩ナースたちがごく自然に卓越したケアをする姿を見て,自己のかかわりの振り返りをしながらケアを発展させてこられた.米田氏の発表では,1例目から57例までのかかわりを通し,患者の反応が変化したときの語りのなかに,変化した自身のケアのありようが示されていたと述べられた.「人は変えられないが自分は変えられる.自分が変われば人も変わる」という先人の言葉どおり,お二人の発表には,自身の成長が患者へのかかわりようを変化させ,その結果,患者の行動変容に結びついている様子が表されていた.臨床での実践知は,個人のなかでの振り返りとともに進化・発展していくと感じさせられた.
また,最近の研究発表は,清水氏や瀬戸氏の研究のように,臨床で活用できる取り組みについてのものが多くなってきている.瀬戸氏の研究では,臨床で糖尿病看護に従事する看護職が自身を成長せしめるためには,どのような観点から客観的に評価していくとよいのかという指標が示されている.また,清水氏の研究は,臨床での取り組みにおいて探求された20の研究から導き出された支援のためのツールの開発である.まさしく,臨床知より抽出し研究され,精選されたものを臨床へ戻すという発展的な循環が患者を中心に展開されている構図が伺える.
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