第5回日本糖尿病教育・看護学会学術集会報告 ●シンポジウム
糖尿病合併症ゼロをめざして―今教育チームは何ができるか
安酸 史子
1
,
川上 智恵子
2
Fumiko Yasukata
1
,
Chieko Kawakami
2
1岡山大学医学部保健学科
2亀田総合病院看護部
1Faculty of Health Sciences, Okayama University Medical School
2Nursing Department, Kameda General Hospital
pp.53-54
発行日 2001年3月15日
Published Date 2001/3/15
- 有料閲覧
- 文献概要
今回のシンポジウムは,「糖尿病合併症ゼロをめざして―今,教育チームは何ができるか」というテーマで4名のシンポジストの方に発表していただいた.
糖尿病教育・看護をしているものにとって,合併症ゼロをめざすというのは非常に大きな目標である.しかし同時に患者が医師から指示された療養法を現実の生活のなかでなかなか守ることができずに苦しんでいる姿を見たり,単純に合併症ゼロをめざすためという理屈で厳しい指導をしても結局は患者の行動変容につながらなかったり,抑うつ的な患者心理を助長してしまうという経験もしてきているのではないかと思う.つまり,合併症予防にと血糖コントロールを中心とした教育を強化しすぎると,患者の生活は規制され我慢することばかりが多くなり,結果的には,治療に対する意欲をなくしてなげやりになったり,治療を自己中断する危険性が出てくる.逆に,患者の思いだけを尊重し自己管理を黙認すると,合併症の出現を容易にし,さらに合併症の出現によるQOLの低下につながり,結局患者の闘病意欲をなくしてしまう.
Copyright © 2001, Japan Academy of Diabetes Education and Nursing. All rights reserved.