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小児の1型糖尿病の患者教育の機会として実施されている糖尿病キャンプは,生活実践のなかで食事や補食のとり方,低血糖への適切な対処法を指導できる有効な機会である.しかし,日常生活と比べて運動量増加や活動時間変化とともに食事内容も変化し,また安全への配慮から補食の摂取量が増加することが予測される.キャンプの補食指導では,速効性と持続性食品のとり方の指導が行われているが,個別性が高いために食品の選択や適切な量など,具体的な摂取方法の指導に明確な方向性が示されているとはいえない.そこで,愛媛県で実施している糖尿病キャンプの食事と補食の現状を調査し,キャンプにおける食事と補食のとり方に注目した自己管理と生活指導方法を検討することを目的に調査を実施した.対象は平成8年,9年,10年の愛媛糖尿病サマーキャンプに参加した重複参加を含む1型糖尿病患者50名(平均年齢11.3±0.3歳,男子30名,女子20名)である.5泊6日のサマーキャンプのうち24時間の観察ができた4日間の活動・食事記録を用いて,1日の全食事摂取量に占める補食の割合(補食率)に注目して,性別,年齢,インスリン注射回数,HbA1c値,インスリン量,1日の食事指示単位,朝食の指示単位の充足状況との関係について分析した.その結果,女子でインスリン注射回数が3回以上,インスリン量が1.0U/kg/day以上の者に補食が多い傾向が示された.また食事の指示単位が十分摂取できていない者で,特に朝食を摂取できていない者に補食が多いことが示された.キャンプでの食事指導では朝食を中心に食事を十分に摂取する基本的な食事指導の必要性が明らかになった.そして,個別性に応じた低血糖の対処方法や予防法を獲得させる指導,補食の適切なとり方や食品の選択という指導課題が示された.
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