Japanese
English
巻頭言
いまこそケアリング
Caring now
吉川 洋子
1
Yoko YOSHIKAWA
1
1島根県立大学看護栄養学部
1The university of shimane, Graduate school of Nursing Science
pp.1-2
発行日 2022年3月20日
Published Date 2022/3/20
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- Abstract 文献概要
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新型コロナウイルス感染症が蔓延し始めてから1年半が過ぎたが、本稿を執筆している2021年初秋にも新規患者数が増加を続けており、入院患者数や重症者数も過去最高を更新し続けている。入院患者数や重症者数の増加によって医療崩壊が懸念されている。同時に医療従事者の身体的・精神的な負荷も大きな問題となっている。自分が新型コロナに感染するのではないか、家族や同僚に感染させてしまうのではないか、自分や家族が周囲から偏見を持たれるのではないかなど、看護職をはじめ医療従事者はかってない苦悩を抱えている。一方で、面会制限や隔離された患者もまた、精神的に大きな影響を受けている。さまざまな困難な状況にあっても、人々の命を守り健康な生活ができるように支援していく医療と看護の役割と責任は計り知れないほど重い。
多くの人が、我慢を強いられる状況にストレスや閉塞感を感じ、そこからの開放や安らぎを求め、癒されたいと願っている。J. ワトソン、M. レイニンガー、P. ベナーをはじめ多くの看護理論家は、看護の中心概念にケアリングがあり、実践の場面において核であると説いている。ケアリングは、人々に癒しや安寧がもたらされるだけでなく、ケア提供者に癒しをもたらすことが明らかにされている。また、S. ローチはケアリングの属性として、5つのCを挙げている。5つのCとは、思いやり(Compassion)、能力(Competence)、信頼(Confidence)、良心(Conscience)、コミットメント(Commitment)である(p. 99)1。
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