PRISM
なぜ,いまターミナルケアなのか
菊地 本子
1
1清田内科消化器科病院
pp.1169
発行日 1988年12月1日
Published Date 1988/12/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661922148
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医学の進歩とその成果は,人々に治療の可能性に過剰な期待を抱かせるほどの影響力を持つようになりました.しかし診療の場では,医学の力も及ばない不治の病気や,これらに起因する身体的苦痛や苦悩など,複雑な問題に遭遇することが多くなりました.このような中で,治療医学の及ばない部分の見直しが行なわれ,そのプロセスに医師たちのキュアからケアへの発想の転換を見ることができます.
患者を,その生活背景と共に総合的に理解し,生活の質を保証する「患者本位」のケアを求める気運が高まってきました.このことは,私たちが長い間目指してきた「患者中心の看護」,そして,日常の看護の延長線上にあるべきターミナルケア「あらゆる身体的ケアを行なっても治癒不可能な患者が,苦痛や苦悩を体験しながら限られた日々を,希望と勇気をもって最後まで自分らしく生きられるように支える」という主張に集約されると言ってもよいでしょう.
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