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日本看護倫理学会第13回年次大会 基調講演
看護師の倫理実践力:語れない語られないものを観じる力
Ethical practical ability of nurses as pre-linguistic responsiveness to patients
西村 ユミ
1
1東京都立大学健康福祉学部
pp.80-81
発行日 2021年3月20日
Published Date 2021/3/20
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本稿では、看護師の「倫理実践力」をテーマとするが、まずはサブタイトルの「語れない語られない観じる力」に注目して議論を進めたい。この「観じる力」の意味については、本稿の最後で改めて取り上げる。
私が、この「観じる力」に出会ったのは、植物状態(遷延性意識障害)患者のケアに携わる看護師の実践に 伴走し、彼らの経験を聞き取った研究(西村,2018a)においてである。それ以降、この言語化が難しい看護師の経験を、何とかして開示しようと悪戦苦闘してきた。「語れない語られない」経験として、ここでは植物状態患者から感じられる「生きる力」「交流の手ごたえ」を紹介する。この力や手ごたえは、はっきり自覚されないため、語りにくく、それゆえにそれがいかなる営みであるのかが示されてこなかった。しかし、看護師には確かに「観じ」られるのだ。それが何であるのかを探求する過程で、私は「現象学」に遭遇した。
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