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日本看護倫理学会第12回年次大会 教育講演
ヘルスリテラシーがもたらす意思決定の格差
Health literacy: Disparity in decision making
中山 和弘
1
1聖路加国際大学大学院看護学研究科看護情報学分野
pp.90-91
発行日 2020年3月20日
Published Date 2020/3/20
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1 .ヘルスリテラシーとその格差
リテラシーとは、“letter”=「文字」を由来としていて、読み書き能力、識字のことである。それが必要なのは、誰もが生まれ持った潜在的な力を生かし、社会に参加し、目標を達成するためである。そのため、それを健康分野に応用してヘルスリテラシーの概念を広めたNutbeam1は、特に「批判的リテラシー」が重要であるとした。
それは、ブラジルの教育学者フレイレによる「批判的意識化」からきている。彼は、ブラジルの貧しい農村の人々が支配者によって抑圧され、文字を知らされず、否定的な自己像を植え付けられ、沈黙している文化を発見した。その解決方法としての「批判的意識化」は、人々がその沈黙の文化の存在を意識し、自分たちが置かれている状況を客観的に自覚して、主体的に変えていくことである。それは、エンパワーメントと呼ばれ、個人や集団が、不利な状況下におかれても、本来備わっている力を十分発揮できるように、環境を変える力を身につけるという意味で用いられている。
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