Japanese
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巻頭言
他職種協働時代における「看護倫理」の再考
Reconsidering “nursing ethics” in the time of multidisciplinary collaboration
小野 美喜
1
Miki ONO
1
1大分県立看護科学大学
1Oita University of Nursing and Health Sciences
pp.1-2
発行日 2019年3月20日
Published Date 2019/3/20
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- Abstract 文献概要
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「看護倫理」は、医療・保健・福祉の場でケアにあたる看護専門職が倫理的な判断や行動を導くことを助ける学問であることは言うまでもない。「看護倫理」はいつも看護実践の中にある。にもかかわらず、『距離がある、縁遠いもの』と受け止められている。先日「多様な場面での意思決定支援とジレンマ」というテーマで研修依頼を受けた。参加者は看護師、保健師、介護者と多様なケア者であった。そこでも「倫理に苦手意識がある」「倫理綱領・・難しい」という声があった。だが、研修の中で看護者たちは己の実践を内省し、日々直面している悩みと問題の深さを感じながらも、前に進もうと懸命であることが伝わってきた。認知症をもつ人へのケア、胃ろう造設の問題、透析導入の問題などにケア者として向かいあおうとする真摯な態度に、私も刺激を受ける。研修が終わった後に、研修参加者から「身が軽くなった」という感想が聞けたときには、「看護倫理」がどれほど看護者たちを助け、力になるのかを実感する。このように、「看護倫理」は看護者の看護の思考と行動を支える根幹であるにもかかわらず、「倫理」という言葉を聞くなり、「苦手」と言わせる理由は何か。
看護倫理の歴史は、徳の倫理に始まり、原則の倫理、今はケアの倫理も含め多様な倫理アプローチを包含して、看護を必要とする人々の最善を追求する看護の学問に発展してきた。この歴史を歩んできた看護倫理は、看護者たちにどのように教えられてきただろうか。
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