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1.はじめに
「看護者の倫理綱領(2003年)」1(以下、「2003年綱領」と略記)の改訂案2が公表されていることを著者らが知ることができたのは、2020年10月末のことである。日本看護協会(以下、日看協)のホームページ(以下、HP)を見ていたひとりが、「看護職の倫理綱領(案)」(以下、「改訂案」)へのパブリックコメント(以下、パブコメ)の募集記事を偶然に見つけ、ただちに日本看護倫理学会の理事会に知らせ、同日のうちに、理事会から全学会員にこの件を周知する措置がとられた。しかし、パブコメの募集期間は10月22日から11月6日までと、すでに締め切りが迫っていた。看護職の多くはコロナ禍で奔走しており、パブコメに応じることはほとんどできなかったのではないかと思う。著者の我々も例外ではなかった。
我々は、パブコメの締め切り後、自分たちの倫理綱領を看護職の一員として深く考えようと、リモートで話し合いを重ねた。本稿では、日看協HP上の「改訂案」とその改訂プロセスに対する我々の考えをお伝えしたい。
まず、日看協HPに載っていた「改訂案」に対する我々の考えを述べる。「改訂案」を対象としたのは、できるだけ速やかに、できれば新綱領が正式に公表される前に、読者各位や日看協に我々の意見が届いてほしいと願ったからである。しかし、その「改訂案」は、間もなく日看協HPから消去され、1回限りの上記パブコメを経て、「看護職の倫理綱領」3(以下、「新綱領」)として、2021年3月15日付で正式に発表された。
専門職の倫理綱領は、当該職種の倫理指針を示すものとして、その内容は極めて重要である。だが、それと並んで重要であるのが、綱領がどうつくられ、あるいは改訂され、公表に至るのか、というプロセスである。そのプロセスは倫理的であることが求められる。その観点で本稿の後半では、今回の綱領改訂のプロセスに対する我々の意見を述べたい。
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