実践報告：臨地実習における倫理カンファレンスでのファシリテーター役割

Practice report: The role of the facilitator at ethic conference in clinical nursing practice

1 ．はじめに

　看護師は日々の看護実践の中で患者と向き合いながら、「患者にとって最善のケアが出来たのだろうか」、「看護の押し付けではなく、患者が本当に必要としていたニードであったのか」、「自分の行いは正しかったのだろうか」と疑問を抱くことがある。すなわち看護師は、倫理的問題（ethical problem）に直面することが度々あり、その時、ただ何となく行動するのではなく、「どうするのがよいことか」、「それはなぜか」と思考することで倫理的感性（moral sensitivity）を高めていくことが出来る¹。

　近年、よい看護師を育成するために、看護教育では倫理が注目されており、看護倫理に力をいれる病院、教育機関が増えている²。A大学では平成25年度より臨地実習（小児看護学分野）における倫理カンファレンスを導入している。倫理カンファレンスは、日常の小児看護実践を倫理的な視点で検討することをねらいとし、実習初日、2日目および最終日を除いて実習期間中は毎日、臨地の現場で30分のカンファレンスを行っている。参加者は、臨地実習における倫理カンファレンスであるため学生と教員だけでなく、臨床指導者にも必ず参加してもらっている。カンファレンスのファシリテーターは教員が担っているが、ファシリテーター役割は難しく試行錯誤しながら実践している現状であり、今回その取り組みを報告する。