◆特集 循環器・呼吸器疾患に関わる作業療法の展開
整形外科的疾患と呼吸器疾患の影響から生活動作に苦痛を伴う方への訪問による作業療法の一事例
新田 和香
1
,
児玉 信夫
2
,
清野 敏秀
3
1訪問看護ステーションベにばな
2新潟県立妙高病院
3朝日町立病院
pp.441-444
発行日 2007年10月15日
Published Date 2007/10/15
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はじめに
在宅で生活する対象者にとって,訪問で作業療法(以下,OT)を提供することは,単に疾患による痺痛や麻痺などの機能的なアプローチだけに止まらない.特に,日常生活活動(以下,ADL)や日常生活関連活動(以下,APDL・IADL)に対する対象者本人・家族の希望を取り入れながら,住み慣れた地域での生活を支援することは重要な役割である.
今回,単身独居生活中に,整形外科的疾患に伴う下肢痛からADL,APDL・IADLに困難が生じたために,ケアマネジャーから「下肢痛・重苦感が楽になって,在宅生活が継続できるよう関わって欲しい」と訪問によるOTの依頼を受けた.訪問開始前は,整形外科的疾患の影響から,痙痛を回避するために生じる代償動作に対して指導することを中心に考えていた.
しかし,初回訪問時から,在宅酸素療法(以下,HOT)導入による運動量の制限や動作時の呼吸機能の低下を認めた.塩谷ら1),道免ら2)が述べているように,呼吸機能と筋の過緊張や痺痛との関連を考慮することは重要である.このことから,呼吸機能を考慮した生活全体の作業量調整が重要であると考えた.
この結果,対象者本人が整形外科的疾患による痺痛だけではなく,呼吸機能低下による過緊張などの痺痛を増悪させる要因を理解し,社会資源を利用しつつ,ADL,APDL・IADLを維持しながら希望である在宅生活を継続できた事例を経験した.以下に,その経過と考察を加えて報告する.
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