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はじめに
私は,第40回日本作業療法学会(京都学会)で,発達領域セミナーの「"生き活ぎ"保育の中の子どもとOT」1)という素晴らしい実践報告に出会った.発表者は,子どもたちとの笑顔一杯の実践とその成果を示す努力を行っており,精一杯の実践と真摯な発表態度は,人の心を打つものだと思った.そして,若い作業療法士の実践を通して得たアイデンティティが会場一杯に伝えられたように思う.このような感動一杯の「実践報告」を,論文というカタチにして投稿して頂きたいという思いで,本稿を執筆することになった.
さて,私の本特集においての役割は,過去10年間の「作業療法」に掲載された発達障害領域の論文を分析して読者に示し,日々の実践の成果を論文というカタチにして頂けるように解説することにある.読者の皆さんは,作業療法実践の成果を心の図書館2)に止めてはいないだろうか?職場の仲間や県や府士会では発表したが,論文にするのは難しいと感じておられる方が多いように思う.そんな時,大学や養成校で学んだ「症例報告の指針」を読み直して頂きたい.またその指針に従って,じっくりと正確に作業療法実践の計画と結果を解釈する習慣をつけることで,経験を人に伝える力が育まれる.その力とは,実践を通して得たエビデンスと他の作業療法士に是非,伝えたいと思う気持ちである.気持ちが育ったなら次は,分かりやすく文章に表現する能力をつけるだけである.何度か書き直してカタチにしていけばよいと思う.本稿の結論を先に述べたので,結論に至るプロセスを①過去10年間の「作業療法」の掲載論文(以下,論文)の分析と指針,②臨床現場での実践報告の準備,③実践報告から研究への道筋の順に述べる.
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