◆特集 介護老人保健施設における作業療法—OTのジレンマを考える
それぞれの老人保健施設に根を張るそれぞれの作業療法—ジレンマをこえて,実践を積み重ねる
浅野 有子
1
1介護老人保健施設涼風苑
pp.564-569
発行日 2005年12月15日
Published Date 2005/12/15
- 販売していません
- 文献概要
- 1ページ目
- 参考文献
はじめに
全国の介護老人保健施設(以下,老健)は3,050施設を超え,入所定員は26万人に達しようとしている.通所リハビリテーション(以下,リハ),訪問リハを併せて展開しながら高齢者の地域リハセンターとしての可能性がある.介護保険制度は矛盾をはらみつつも地域に定着し,高齢者の暮らしを支えつつある.
私たち作業療法士(以下,OT)は“より良い暮らし”へ向けて,機能・環境・活動・参加を支援する専門家として,介護保険の領域でもしっかりと実践を積み重ね,職能・職域を確立・拡大していきたい.
老健のOTにジレンマがあるとしたら,全国の老健がそれぞれに特色があり,事情が違い,そこに働くOTたちが周囲に期待されている役割が違うことに一因があると感じる.
老健のOTの多くが1人(か2人)職場であり,老健のOTの3分の2以上が経験5年未満と若いことも,迷い・不安の原因となろう.
いまこそ,OT同士の連携・職能団体としての支援体制が重要である.OTの側から自分たちの役割を打ち出していけばよい.老健は,私たちOTの専門技能をダイナミックに展開できるやりがいのあるフィールドである.
コミュニティケアの入口であり,生活支援の現場であり,人生の緩やかなターミナルケアの場であり,介護という課題を通して“家族”が見えてくる場である.
私は,涼風苑のリハサービスの積み上げにあたってジレンマを前向きに捉え,年度ごとの達成課題・半期ごとの具体的業務計画を策定し,チームリハ体制の整備をめざしてきた1,2).
Copyright © 2005, Japanese Association of Occupational Therapists. All rights reserved.