焦点 看護研究におけるアフォーダンスの可能性
治療のためのアフォーダンス―見えるところに答えを求めるエコロジカルセラピー
野村 寿子
1
1株式会社ピーエーエス
キーワード:
アフォーダンス
,
知覚と行為
,
リハビリテーション
,
スヌーズレン
,
エコロジカルセラピー
Keyword:
アフォーダンス
,
知覚と行為
,
リハビリテーション
,
スヌーズレン
,
エコロジカルセラピー
pp.549-557
発行日 2008年12月15日
Published Date 2008/12/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1681100346
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行為から始めるリハビリテーション
22年前,作業療法士になりたての頃から,私は「子どものリハビリテーションの鍵は遊び環境の中にある,発達は当たり前の環境の中でこそ促されるものである」と信じて,障害のある子どもたちと向き合ってきた。時は神経生理学的アプローチ全盛期であったが,私は子どもの生活の中で起こる偶発的な活動を援助する手法で作業療法を展開してきた。例えば,子どもたちと一緒に散歩に出て見つけたタンポポを摘んで綿毛を吹くことや,公園のブランコや滑り台,路地でみつけたバッタなど,それらすべてが私のアクティビティであり,その関わり合いの中で子どもたちの心と体が生き生きと動き始めるのであった。必ずしも障害部位に働きかけるわけではない型破りなリハビリテーションの方法ではあったが,子どもたちには確実な機能的変化がみられるのであった。
そんなとき,Gibsonの「関わることによってしか見えてこない環境に潜む情報アフォーダンス」「知覚と行為の循環」という言葉と出会った。Gibsonは私たちの周りの環境は,多様な情報と出会う場である,環境のもつ多様な情報の中から,環境の中に潜む情報に気づき,選択することによって行為が生まれる,しかしその多様な情報との出会いは,環境の探索という動きを伴うものであり,この行為と知覚することを切り離して考えることはできないとし,このことを「知覚-行為循環」と表現した(Gibson,1979/1985)。
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