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はじめに
筆者の職場は副都心を間近に控えた住宅地に平成7年6月に開設された,地方自治体第三セクターである社会福祉事業団運営の特別養護老人ホーム(50床+ショートステイ10床.入居者の約8割とショートステイ利用者の約9割を痴呆症者が占める)および併設のデイサービス(B型)である.リハビリテーションスタッフの人員枠は,開設当初から施設全体に対して作業療法士(以下OT)1名,理学療法士(以下PT)1名であり,実際にも常勤者がそれぞれ確保されていたが,初代OTは平成8年3月に退職,同4月から筆者が交代するようにして勤務することになり現在に至っている.筆者の前任者は,立ち上がり期の施設の常である組織運営上の種々の混乱のはざまで,退職時にはデイサービスの専任スタッフとしての位置づけになっており,特養入居者への関与は事実上ない状態であった.ちなみにPTも就職直後に退職,その後週1回の非常勤者によって,やはり通所者中心の関わりのみが継続していたが,平成9年4月には常勤者が雇用されている.
本稿は,デイサービスとのかけもちである都合上,1週につき2日半程度に限定されている特養入居者に対する筆者の作業療法臨床に焦点をあて,上記の経過のとおりOTの関わりがゼロであった昨年4月の状態から現在に至るまでの期間,実際に何をしてきたのかを振り返って,その経過を自己分析的に記述することを試みるものである.同時に,おそらくは未だ関与するOTの総数がそれほど多くないという理由から論じられる機会の少ない,特養での作業療法臨床の一実践の報告,あるいはいわゆる一人職場においてOTがその機能性をいかに発揮させうるかという課題についての1つの現状の紹介を意図するものでもある.
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