連載 ニュースウォーク・70
特養ホームでの看取りが増えて
白井 正夫
1
1元朝日新聞
pp.98-99
発行日 2004年1月1日
Published Date 2004/1/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1664100678
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沢木耕太郎の近著『無名』(幻冬舎)を読みながら,10年前に亡くなった父の姿が浮かび,不覚にも涙が出た。不覚というのは朝の通勤電車内だったからだ。
作品は病気で亡くなった実父との心のうちのかかわりを,簡潔な文章で描いている。著者の思いは,市井の人にすぎなかった父の句集づくりに結実していく。そのなかに肺炎が重くなった老齢の父の「自宅に帰りたい」という思いをかなえさせる経過がある。
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