◆特集 作業療法における対象者理解の枠組み
こころの病いと障害—その理解と援助
山根 寛
1
1京都大学医療技術短期大学部
pp.340-343
発行日 1997年10月15日
Published Date 1997/10/15
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何とかならへん?
「あの,この人64歳の男の人やけど,できたらもういっぺん外で生活させてあげたい.何とかならへん?」と主治医から相談があった.Kさんは分裂病と診断されて40年近くのほとんどを病院ですごしてきた.これまでに一度退院し,一人暮らしの経験があるらしい.前回14,5年前に退院した時は,自分の身の回りのことは何とか一人でできていたが,少し変わった癖があり,近所とうまく折り合いがつかず再入院になった,と以前関わりのあったケースワーカーから聞いた.
Kさん,いつ病気になってどういう暮らしをしてきたの,一人暮らしをしていた時何が困ったの,今どの程度日々の生活に関することができるの,どこで住むの,生活の拠り所は,作業療法でしてあげられることは何,きっとしない方がいいこともあるんでしょうね.思いは巡る.
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