Coffee Break
粘膜の充血を演出しているのは
pp.158
発行日 1982年2月25日
Published Date 1982/2/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1403108719
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ほほや手をこするとそこが赤味を帯びてくる.血行がよくなる.何も考えずにそう思って当たり前になっている.粘膜はさわっただけで充血する.とても敏感なのである.大分昔の話だが,オパールグラスを用いた分光計にファイバースコープを連結し,その先端部を胃粘膜に当てて該所のオキシヘモグロビンの吸光度を半定量し,血流測定をしたことがある.そのとき,最初は何とか測定できたが,2回目以後は同一場所に当てるとスケールアウトした.それくらい粘膜とは敏感なものである.
ところで,このような充血には何が係り合っているのであろうか.リドカインで局所麻酔をするとこの充血は阻止される,神経毒のテトロドトキシンを注射しても阻止される.アドレナリン作動性剤,コリン作動性剤,筋遮断剤のいずれもこの充血を阻止しない.5-hydroxy-tryptamine(5HT)の神経受容体を阻害すると充血は阻止される.最近ではvasoactive intestinal polypeptida(VIP)がこの充血に関与していることも示唆されている.VIP含有神経が特に腸管では小血管や平滑筋に入り込んでいることもわかってきた.
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