- 販売していません
- 文献概要
- 1ページ目
- 参考文献
はじめに
組織・管理・運営について述べる訳であるが,それらの定義あるいはそれらに関する理論的内容を述べるつもりはない。本来ならばこれらについてまず最初に述べるべきであろうと考えるが,筆者らにはその能力がない為,当センター作業療法科における現状について述べるにとどまることを,予め御了承願いたい。
ここで新ためて,組織・管理・運営という言葉を耳にした時の印象を考えてみれば,いわゆる硬いイメージあるいは難しい,よくわからないという印象を受けるのは,筆者らだけではないであろうと思われる。また,組織・管理・運営というものは,管理部門や事務サイドあるいは各部門の責任者等が考えるものであって,現場にいる一人一人の作業療法士が考えるものではない,または考えても意見が取り入れられず無駄であると考えている人もいるかも知れない。
では,実際の作業療法に関する業務内容はどうであろうか。組織・管理・運営に関わることが数多くあるのではないだろうか。例えば,訓練室の管理,訓練用備品や消耗品の保管・購入,作業療法対象者の訓練スケジュールの調整や訓練室等での安全管理,他セクションとのケース会議や打ち合わせ,カルテ管理,診療報酬に関するシステム,作業療法士がどの部門に所属しているか等々あげられるであろう。このように考えてくると,日常の業務において組織・管理・運営に関することが,数多くあるのではなく全てがそうであると捉えた方が適切であり,捉えるべきと考える。
また,一人一人の作業療法士あるいは作業療法部門が,ある組織・機関に属している以上何らかの役割を有しているはずである。この役割の内容は,その機関の設立経過・目的等により異なるであろうし,作業療法部門の開設経過によっても当然異なるであろう。ここで重要なのは,どのような役割を有し,今後どのような役割を持つ必要があるのかあるいは期待されるのかということが,組織・管理・運営と密接な関係にあることであろう。従って,一人一人の作業療法士・作業療法部門全体が,その役割に関する認識をどの程度もっているのかということが,日常の業務における組織・管理・運営に対する考え方に大きく影響するであろうと考える。
組織・管理・運営というものは,日常の業務において非常に身近なものであり,また組織や機関の目的ならびに作業療法部門の役割と密接な関係にあることを踏まえて,まず最初に当センターの概要,作業療法科の業務の概要を述べ,次に作業療法科の組織・管理・運営の側面の現状と問題点について,筆者らの反省と今後の方向性を含めて述べていくこととする。
Copyright © 1986, Japanese Association of Occupational Therapists. All rights reserved.