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はじめに
「理学療法士及び作業療法士法」(昭和40.6.29.法137,改正昭和46.法28)が出来てから約20年間経過してきている.この間に,身体障害者を対象とする作業療法部門が,設置すべき治療器具等の法的基準が示されてきている.
まず,前述した法の中で作業療法の定義について,「この法律で「作業療法」とは,身体または精神に障害のある者に対し,主としてその応用的動作能力または社会的適応能力の回復を図るため,手芸,工作その他の作業を行なわせることをいう」(第2条の2)とある1).ここで作業療法の定義について論じるつもりはないが,作業療法で用いる治療手段について触れていることを一応注意して頂きたい.つまり,これらの作業を行うための器具等が必要であることを示しているからである.
次に,診療報酬に関するものとして,作業療法の施設基準がある.これは,「運動療法等の施設基準の承認に関する取扱い」(昭和49.1.25.保発8,改正,昭和58.1.20.保発5)の第二,承認の決定の2―別紙「運動療法等の施設基準に係る承認要領」の第二,運動療法又は作業療法の施設基準の2.作業療法の(4)に器具等の例示として示されている2).
また,労働者災害補償保険法においては,「労災病院におけるリハについて」(昭和43.10.29.基発686)に基づいて,「労災病院におけるリハ医療実施要領」(昭和47.4)の中で,労災リハ医療指定施設指定基準が設けられ作業療法における作業名および器具等が示されている3),4).
なお,作業療法士の養成機関に関しては,「理学療法士作業療法士養成施設指導要領について」(昭和41.9.14.医発1099,改正昭和57,医発759)の6,教育上必要な機械器鼓等に関する事項(1)の別表1.教育上必要な機械器具のイ.作業療法士養成施設において示されている5).
このように,身体障害者に対する作業療法部門が必要とする治療器具等の法的基準がある.これらの治療器具等は,作業療法が治療手段として用いる「作業」あるいは「活動」と表裏一体の関係にあると言えるが,実際の日常の臨床場面においては,どのような治療器具等が,多く使用されているのかということに関する資料は比較的乏しい状況である.
そこで,著者らは,身体障害者に対する作業療法部門において用いられている治療器具等の状況を把握し,今後の臨床場面への参考とすることを目的として,アンケート調査を実施したので,その結果をここに報告することとする.
なお,同様の内容に関して古沢6),鷲田7),福井8)らの報告があるので,これらも参照されたい.
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