◆研究と報告
片麻痺患者のサンディング作業における坐位の重心移動
宮本 智次
1
,
生田 宗博
2
1金沢赤十字病院
2金沢医療技術短大
pp.32-39
発行日 1984年2月15日
Published Date 1984/2/15
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はじめに
脳血管障害による片麻痺患者においては,麻痺側正常運動機能の低下,痙性の亢進,下位脳髄反射の解放現象に伴う非対称性緊張性痙反射等の過剰出現,あるいは表在感覚や深部感覚等の低下に伴う体全体の患側への傾斜症状等,そして中脳あるいは,大脳皮質における立直り,平衡反応の機能低下,更には健側機能の低下等の諸種の原因によって,平衡機能の障害が引き起こされる。
リハビリテーションにおいて平衡機能障害は,写真による頭部,体幹の垂線に対する傾きの計測法が古くは用いられたが,近年重心計の発達に伴って,重心動揺の変化によって計測する方法が確立されてきた。
ところで作業療法は椅坐位において実施される場合が多く,坐位姿勢保持能力は重要な問題といえる。しかし,重心計を用いて重心動揺を計測した報告は立位時における結果に関するものが多い一方,椅坐位における重心移動を測定した報告は極めて少なく,片麻痺患者の椅坐位作業中の重心移動を測定した報告は,従来においてない。
そこで今回は動作範囲が大きく作業療法において用いられる事の多いサンデイング作業中の重心移動を測定する事とし,板とブロックの間の抵抗を極力少なくするための特殊なサンデイング装置を考案し,片麻痺患者のこのサンデイング作業中の重心動揺を測定し,健常者における結果と比較して報告する。
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