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本誌57巻10号特集「障害受容・適応再考」では,障害受容の概念について多様な8人の著者の多面的な解説が非常に興味深く,理解を深めさせてくれた.その中で上田の特別寄稿1)の「障害の受容の概念は〜(中略)〜患者・家族を非難する用語として誤用・悪用されることが多かった.これに対しては,正しい用語理解の普及に努めるべき」との結語には強く同意した.そこで,正しい障害受容の理解と適切な対応を取るための一助になると思われる「主体性の概念」について伝え共有したい.
脳卒中などの疾患により障害があり,病初期には混乱した状態に陥っても,長期的には主体的に自分らしい生活を構築していく方の経験を見聞きする.その過程は千差万別だが,筆者らは,一定の傾向がないわけではないと考えた.この複雑な過程を当事者,医療者,支援者が,理解し,特徴を捉え,置かれている段階を判断して,共有できれば,適切な支援にもつながり,非常に有用ではないかと考えて多職種で研究し,「主体性回復モデル」を作成した2).「主体性回復モデル」は脳損傷による中途障害者を想定し,「障害のある人がその人らしい生活を構築していくための主体性」を構成する要素は,「意欲」「自分次第という考え」「自信」の3要素であり,「認知」が下支えするとしている.主体的になったのちには「新しい価値観へ転換」していく方もいると想定しており,これが「障害受容」に相当すると考えられる.プロセスは5段階を想定しており,第0段階「できない事を認識できていない」,第1段階「行動を起こしづらい状態」,第2段階「行動を起こす準備段階」,第3段階「行動を起こせる」,第4段階「行動(生活全体)をマネジメントできる」としている.
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