- 文献概要
新型コロナウイルス(COVID-19)により,中国のみならず,日本中さらには世界中が混乱に陥っている.ついにはWHOがパンデミック(世界的大流行)相当との見解を示した.感染力の強さは想像以上のものがあるようだが,まだその実態は詳しくわかっていない.検査法の簡易化やワクチンなどの治療薬の開発などやることは山ほど残っているが,政府も対策に躍起になっており,すでに学会や懇親会など多くの集会が中止になっている.5月,6月にはある程度沈静化していることを切に願うばかりである.
思えば人類の歴史が始まってから,感染症との戦いが続いており,有史以前から近代までヒトの疾患の大きな部分を占めており,医学の歴史は感染症の歴史に始まったといっても過言ではない.感染症や疫病に関する記録は古代から存在し,古代メソポタミア文明にあってはバビロニアの『ギルガメシュ叙事詩』にすでに四災厄の中の1つに数えられ,エジプトでもファラオの威光は悪疫の年における厄病神に比較されていたそうである.天然痘で死亡したと確認されている最古の患者は古代エジプトの第20王朝のファラオ・ラムセス5世であり,ミイラの頭部に天然痘の痘庖があることが確認されている.
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