巻頭言
この30年の変化,そして継承,発展すべきもの—Inclusive society(寛容社会)も視野に入れて
下堂薗 恵
1,2
1鹿児島大学大学院医歯学総合研究科リハビリテーション医学
2鹿児島大学病院リハビリテーションセンター
pp.80
発行日 2019年2月18日
Published Date 2019/2/18
- 販売していません
- 文献概要
リハビリテーション科医を志し,卒業と同時にこの道を歩み始めた.「これからはリハビリテーション医学の時代」との教授のパイオニア精神に共感し,胸を膨らませた.
この選択には,私が医学部5年生のとき,1988年に受けたリハビリテーション科の講義,実習がきっかけとなったことに間違いはない.そのとき,ある光景が思い出された.自分が子供の頃,祖母は“寝たきり”となり,親に連れられて親戚宅に見舞いに行った.すると祖母は「アイタヨー,アイタヨー(痛い,痛い)」と叫んでおり,叔母と母が背中をさすっていた.その理由を母に問うと床ずれのためと答えた.この体験があって医学生となって受けた“脱・寝たきり”の講義は,病気と障害の区別,そして,いまだ不足しているリハビリテーション医療の実態を知る契機となり,不動による合併症を防ぐための知識や技術は,これからの高齢者医療を充実させるために必須との認識を強めた.
Copyright © 2019, The Japanese Association of Rehabilitation Medicine. All rights reserved.