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教育講座
外傷性末梢神経障害の治療とそのリハビリテーション治療の実際—腕神経叢損傷
Surgical Treatment and Postoperative Rehabilitation Therapy for Traumatic Peripheral Injury : Brachial Plexus Injury
柿木 良介
1
Ryosuke Kakinoki
1
1近畿大学医学部整形外科学教室
キーワード:
腕神経叢損傷
,
リハビリテーション治療
,
神経再建術
,
筋肉移植術
Keyword:
腕神経叢損傷
,
リハビリテーション治療
,
神経再建術
,
筋肉移植術
pp.939-942
発行日 2018年11月16日
Published Date 2018/11/16
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- Abstract 文献概要
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- 参考文献 Reference
はじめに
腕神経叢は,第5頚髄神経根から第1胸髄神経の5本の神経根から形成されるが,ときに第4頚髄神経根や第2胸髄神経根が関与する症例があり,それぞれ,prefixed,postfixedと呼ばれている.腕神経叢損傷は,この腕神経叢部の神経障害である.腕神経叢損傷は,節前損傷と節後損傷に大別される.節前損傷は後根神経節より中枢での損傷で,神経根の引き抜き損傷のことである.一方,節後損傷は,後根神経節より末梢に発生した末梢神経障害であり,その損傷および術後の経過は,Seddon分類1)に従う(表1).神経根引き抜き損傷では,一般に引き抜かれた神経根を単に脊髄に縫着しても,神経再生はほとんど起こらないとされていて,その治療は,副神経,横隔神経,肋間神経などを麻痺神経に移行する神経移行術や麻痺を免れた筋肉を移行する筋移行(移植)術が適応となる.一方,節後損傷は,末梢神経損傷であるので,神経縫合術,神経移植術もその適応となる.腕神経叢損傷の発生原因としては,オートバイによる転倒など高エネルギー外傷がほとんどで,ときに腕神経叢部への刺創,医原性損傷などがある.本論文では,第5頚髄神経根から第1胸髄神経の5本の神経根すべての引き抜き損傷である全型腕神経叢損傷に焦点を置いて,筆者の行っている外科的治療とリハビリテーション治療を説明する.
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