Japanese
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入門講座 リハビリテーション医療のエビデンス—言語聴覚療法・3
摂食嚥下障害
Dysphagia
稲本 陽子
1
Yoko Inamoto
1
1藤田医科大学保健衛生学部リハビリテーション学科
1Faculty of Rehabilitation, School of Health Sciences, Fujita Health University
キーワード:
摂食嚥下障害
,
リハビリテーション
,
刺激法
Keyword:
摂食嚥下障害
,
リハビリテーション
,
刺激法
pp.247-253
発行日 2020年3月10日
Published Date 2020/3/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552201898
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摂食嚥下リハビリテーションの発展
摂食嚥下リハビリテーションは,1980年代に嚥下造影検査(videofluoroscopic examination of swallowing;VF)が臨床的に用いられるようになり急速に発展した.それは,嚥下造影にて嚥下動態を初めて可視化できるようになったことで治療指向的評価が可能となり,リハビリテーションによる介入のポイントが明確化されたからである.現在までの40年間にて飛躍的な発展を遂げ,リハビリテーション医学において欠かせない領域となっている.信頼性の高い臨床研究のデザインであるシステマティックレビューやランダム化比較試験はいまだ十分ではないが,コホート研究や症例対照研究や症例報告に裏づけられた方法,さらに積み重ねられた経験や専門家の意見が,摂食嚥下リハビリテーションを有効なものとして支え,摂食嚥下リハビリテーションの体系を築いてきた1).
摂食嚥下リハビリテーションの実用化および発展を後押ししたのが,飛躍的な技術進歩である.テクノロジーの発展によって,嚥下中の諸器官の動態や力学的変化および脳の変化を視覚的,定量的に捉えられるようになったことで,末梢運動レベル,中枢レベル双方向から摂食嚥下のメカニズムを解明できるようになったのである.こうした発展は定量的な効果検証に寄与し,新たな治療法の開発につながっている.
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