Japanese
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教育講座
患者教育に活かすコーチング
Application of Coaching for Patient Education
出江 紳一
1
Shin-Ichi Izumi
1
1東北大学大学院医工学研究科リハビリテーション医工学分野
キーワード:
コーチング
,
患者中心医療
,
ナラティブ・ベイスト・メディスン
,
組織開発
,
医療の質
Keyword:
コーチング
,
患者中心医療
,
ナラティブ・ベイスト・メディスン
,
組織開発
,
医療の質
pp.704-709
発行日 2017年9月15日
Published Date 2017/9/15
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はじめに
コーチングは,相手(クライアント)の目標を達成するための自主的な行動を促進するコミュニケーションであり,一方向の教示ではなく,コーチとクライアントの間で双方向の対話が交わされる.コーチは傾聴し,承認によって相手への関心を示し,その人の物語りを引き出し,聞き分け,質問によって別の視点を与え,選択肢を増やす.また,1回きりの対話ではなく,行動の結果を振り返り継続的にかかわる.
筆者らは2002年頃からコーチングを研究テーマとして,その構造と機能の解明,医療への応用に取り組んできた.学び始めた当初は,リハビリテーション科の診療において患者の目標達成を支援するためのコミュニケーション,とコーチングを位置づけたが,研究を進めチーム医療への応用までを扱うに至った.図1にコーチングの臨床応用に関する私たちの研究の概要を示す.患者をクライアントとしたコーチングが役に立つことがわかったので,保健医療福祉職および学生にコーチングを教えるプログラムを実施し,その有効性と限界を示した.また,コーチングが企業の人材育成に活用されていることから,医療組織への導入を着想した.
本稿のタイトルは「患者教育に活かすコーチング」であるが,「患者と学び成長するためのコーチング」のほうが内容をよく示している.コーチングというコミュニケーションを通して学ぶのは患者だけではない.また,医療者個人のコミュニケーションだけではなく,医療チーム内のコミュニケーションも患者ケアに影響する.本稿では,患者教育と医療チームのコミュニケーションを通して医療の質向上に寄与するためのコーチングの活用を述べる.
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