リハニュース【リハ医への期待】
第33回 看護の立場から
坂本 すが
1
1日本看護協会
pp.549
発行日 2017年7月18日
Published Date 2017/7/18
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- 文献概要
病院に勤めていた頃,“リハビリテーションの力”を強く意識する出来事があった.その病棟では,脳卒中で片手麻痺の患者さんに対し,動くほうの手を鏡に映し,麻痺したほうの手が動いているように錯覚させる,いわゆるミラーセラピーを行っていた.錯覚により脳を刺激し,動くはずのない手のよりリアルな運動のイメージを作り出すのだという.方法自体も面白いと思ったが,数日後,実際にその患者さんが麻痺したほうの手を動かし歩いているのを見て,本当によかったと思うと共に,大変驚き感銘したのであった.
これがリハビリテーションの専門性なのか.看護にはない何かを感じ愕然とした.当時は今ほど「チーム医療」が当然ではなく,同じ病院でも他の職種が何をしているのか,積極的に知ろうとしていなかった.しかし,看護だけでは解決できない問題に幾度となく直面し,他の職種の知恵や技を借り,一緒に患者さんを支援することが必要ではないかと漠然と感じていた.では一緒に活動するにはどうしたらいいのだろう.まずは知ることだ.当時,幸運にも看護部長という立場にあった私は,院内の各病棟に出かけ,そこで働く医師や看護師,他の職種と話す機会をもった.
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