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フレイル
高齢者のリハビリテーション(以下,リハ)に関して,ここ10年で大きな変化が起こっているが,その根幹にあるのはFriedらによるフレイルの概念の導入である1).高齢者に限定した場合,フレイルは多くの臓器の生理学的な冗長性が全般的に障害された状態と表現できる.このフレイルに関連して,疾病に対する抵抗性の低下,自分自身の体ないし環境に内在するストレス要因に対する脆弱性,生理学的および心理学的なホメオスターシスを維持する能力の制限などが起こってくる2).75歳以上の高齢者の集団では,その20〜30%がフレイルであると言われ,その割合は高齢化するにしたがって高くなっていく1, 3).
フレイルは高齢者に特有の疾患の発症リスクの増大,周囲に対する依存,さまざまな障害,長期入院,施設入所および死亡率の増大などの高齢者の生活全般に影響を与える重大な帰結につながる(表1)とする多くの報告がある1, 4-7).フレイルであると判断するためには,活動量の低下,全身性の筋力低下,易疲労性/消耗性,歩行などの動作の遅さ,同年齢の集団と比べた場合の体重減少などの有無をもとにするとされている(図1)1).フレイルの原因となる(あるいは大きく関与する)要因としてサルコペニア,骨量減少,原因が特定できない(加齢が主因と考えられる)バランス障害,栄養障害,および全身的なdeconditioningなどがある8).より最近の研究では,フレイルであると考えられる高齢者にIL-6, CRP, 25-hydroxyvitamin D, IGF-1, D-dimerなど臨床的なマーカーの異常が合併すると報告されており,潜在的にホルモン調節,免疫系の加齢,副次的な凝固系および炎症反応の異常が存在することが示唆されている2, 7, 9).
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