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はじめに
近年,GoogleやFaceBookなどクラウドコンピューティング技術を用いた情報サービスが発達している.これらのサービスを受け,ユーザはテキスト,画像,音声,映像などのマルチメディアを用いてより多くの情報を得ることが可能になった.これらは,主にインターネットサービスを主体とした取り組みで実現している.このクラウドサービスを放送やイベント,デジタルサイネージにも取り入れ,社会的にコンテンツとして普及してきている.エンターテインメント性およびインタラクティブ性のコンテンツの位置づけにおいて,コンピューターグラフィックス(CG)技術を用いたキャラクタアニメーションやCG固有の映像効果を導入することで,より良いコンテンツを提供可能である.また,リアルタイム性を重視することで実時間処理を獲得可能であり,ユーザとのコミュニケーション力が高まる.CG技術を用いたキャラクタアニメーションでこの実時間処理を実現するためには,モーションキャプチャ技術を利用する1).モーションキャプチャ技術は計測の精度はもちろん,計測したモーションデータのリアルタイムネットワーク伝送技術が必要となってきている2).さらに,CGを用いた映像を出力する際は,レンダリング技術が重要である.CG映像のレンダリング技術は単なる美しさだけではなく,リアルタイム処理で表示する.これらの技術を兼ね揃えることでマルチメディアを超えたモーションメディアとして今後の映像技術始め,幅広い分野において応用可能だと考える.このモーションメディアを提供するためには,先に述べたリアルタイムモーションキャプチャ技術,リアルタイムネットワーク伝送技術,リアルタイムレンダリング技術の3つの技術を確保する必要がある.その上,文字や画像を用いて現実世界の情報を強化する拡張現実(Augmented Reality:AR)技術3),主に映画などの映像分野で用いられるPreViz(Pre-Visualizationの略)に応用可能である4).
ここで,リハビリテーション医学の分野で利用されている3次元動作解析装置の光学式モーションキャプチャシステムは,高解像度カメラの開発で先進的なハードウェアを持ち,様々な機能を含むソフトウェアによって多くのユーザに動作の分析/解析で利用されている.特に,光学式モーションキャプチャシステムのリアルタイム処理は,機能性を強化するとともに,瞬時に計測した動作データを確認することが可能となり,利用者の利便性が高まっている.ここで,リアルタイムモーションキャプチャシステムを用いた動作解析の利用形態を考えてみると,以下の問題を生じている.1)被験者は,自身の動きを確認することはできない.2)同時刻に分析/解析を遠隔地の人と共有できない.
このような問題事例を解決するために,筆者らは,リアルタイムモーションキャプチャ技術,リアルタイムネットワーク伝送技術,リアルタイムレンダリング技術を確保したシステムを開発している.また,仮想現実(Virtual Reality:VR)や拡張現実(AR)をシステム内に取り入れることで,被験者の客観視点を実現することが可能である.
そこで,筆者らは,多地点の遠隔地にあるリアルタイムモーションキャプチャシステムを独自に開発したリアルタイム伝送技術で接続し,リアルタイムレンダリング技術で統合した3次元グラフィックエンジンを用いてキャラクター表示システムの開発を目的とする.
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