プログレス
高次脳機能障害の見方とリハビリテーション
宮森 孝史
1,2
1専修大学経済学部
2専修大学大学院文学研究科
pp.50-52
発行日 2002年1月15日
Published Date 2002/1/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1551105968
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
高次脳機能障害とはなにか
高次脳機能障害という言葉を耳にしたことの無い読者はいないであろう.では,この言葉からどのような患者の姿を想像するであろうか.思い浮かべられた姿を言葉にすれば,そこには多種多様な障害像が存在していることに気づくはずである.
高次脳機能とは,感覚系から入力した情報を分析,統合し,記憶として大脳各領域に貯蔵されている知識に基づき実行される認知行動にかかわる脳内過程ということができる.その障害像(高次脳機能障害)は,従来,失語症,失行症,失認症などの脳機能の部分的,局所的障害を主に指していたが,近年その対象を広げ,記憶障害,注意障害,意欲の障害,前頭葉症状,痴呆性疾患,そして頭部外傷後に現れる非定型的行動障害,小児性疾患の自閉症,学習障害,注意欠陥/多動障害なども含むようになってきている.こうした背景には,それまでブラックボックスとして,ばらばらに研究対象としてきた認知システムの構成単位(感覚,知覚,注意,記憶,言語,学習,概念形成,推理,判断,思考,遂行など)を,一連の情報処理過程として統合的にとらえることを可能にした認知革命の影響がある.
Copyright © 2002, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.