第45回 日本リハビリテーション医学会 学術集会/横浜 《シンポジウム》「運動療法」から「生活活動」へ-「動く」ことの医学的効果とエビデンス-―座長/太田 壽城・間嶋 満
軽症脳卒中患者におけるインスリン抵抗性の改善に対する歩行の効果
間嶋 満
1
1埼玉医科大学リハビリテーション科
pp.246-250
発行日 2009年4月18日
Published Date 2009/4/18
- 販売していません
- 文献概要
- 1ページ目
- 参考文献
研究の背景
メタボリックシンドロームは主幹動脈の動脈硬化を促進し,その結果として心筋梗塞,脳梗塞を引き起こす.メタボリックシンドロームと動脈硬化との関連は,これまで心筋梗塞を中心としてなされてきたが,メタボリックシンドロームが脳梗塞の重要な危険因子でもあるとの報告がなされている1).我々は脳卒中患者の中に,従来動脈硬化との関連が高いといわれてきた高コレステロール血症よりもむしろ高トリグリセリド(TG)血症の方が多く見られることに対する検討を加えていく過程で,脳卒中患者の高TG血症の原因としてインスリン抵抗性を挙げ,高TG血症を有する脳卒中患者では高率にインスリン抵抗性が認められることを報告した2).このことは,インスリン抵抗性を有する脳卒中患者では動脈硬化の進展が続き,その結果として脳梗塞の再発や心筋梗塞の発症が生じ,障害が更に増大することを示唆している.
ところで,インスリン抵抗性はメタボリックシンドロームの病態の中核をなすもので(図1),それが生じる背景には運動不足と肥満が存在する.それ故,インスリン抵抗性の改善には食事指導とともに運動指導が重要となる.このことが,リハビリテーション(以下,リハ)医学がメタボリックシンドロームの進展抑制を介して,脳卒中患者における脳梗塞の再発予防や心筋梗塞の発症予防に関与すべき根拠となる.
Copyright © 2009, The Japanese Association of Rehabilitation Medicine. All rights reserved.